さて、とうとうこの電話のことを書くときがきてしまいました。
その前に、私が釜山で出会った韓国人は、どんな人たちだったのかを
ご説明したいと思います。
まず、学校の先生はとても熱心で、私たちが宿題をしないと、先生の有り余る熱意が悲しみに代わり、涙してしまいます。そして、不動産屋のおばさんは、知り合いに一人はいそうなお喋り好きのおばさんみたいなノリ。
そうそう私の朝のひどい授業は終了し(きっと更迭)、夜の授業を受け持ちました。
その生徒さんたちは、どんな人たちかというと、日本語でビジネスができ、学校の授業も日本語で受けられるくらいのレベルの方達で、終始雑談で授業が終わる。
(そういう科目です!)夏休み、私が教えた中学生2名が塾に入ってくれて、毎日授業後に途中まで一緒に帰りました。すごく可愛かったな。
授業中、高校生の女の子が、「先生、私、来週の月曜日と火曜日はお休みします」
「どうして?」「明日、目を二重にするの!イェイ!」
私が出会った人たちは、人懐こく、見栄っ張りなくせに、かっこついてなかったり、音楽がかかれば踊りだし、家に招待してくれ、ご馳走を振舞ってくれたり、温情があるくせに喧嘩っ早いような。女性はとてもたくましく、よく喋る。みんな面倒見がよく、一人でカフェでもしようものなら、「どうしたんだ?なんでだ?なんで一人なんだ?」と心配してくれる。そこが私には合わないところの一つだったけど。そして、とてもユーモアのある人が多
く、そこはとっても大好き。本当に面白い。私には、韓国人のドングンというお友達がいるのですが、彼は天才なんじゃないかなって思うほど面白い。数年前、ドングンが昔むかしに書いたというポエムを読ませてもらったけど、本当に恥ずかしいポエムだった。
「自分探し」みたいな、「でも前を向こう」みたいな。海を見ながら、悩める青年が、
まだ見ぬ世界に想いを馳せながら、僕はまた今日を生きるみたいな!
「こういうポエム、みんな書いたことあるでしょ」って言っていた。
とにかく、かっこつけるのだけど、可愛らしさがあり、
ツッコミどころ満載の大人が多かった。ビルの上にある、信じられないくらい怖い遊園地があるのですが、円盤状の乗り物で、その円の淵に沿ってベンチが配置され、そこに座ってベルト無し。グルングルン回って、上下にも動く。スピードも上がる。
おじさんとおばさんが、グルングルン動いている最中に円の真ん中に出て、「どうだ!」みたいなポーズを順番にしてノリノリでいる。私は乗り終わった後に、歩くのさえ難しかったくらいの激しい揺れだった。
さてさて、そろそろ「ヘウンデの電話」です。
ヘウンデとは、釜山にある有名なビーチでシーズン中は、一ミリの隙間もないくらいにパラソルが並び、人でごった返します。そんなヘウンデにいると、知らない番号からの電話がなりました。(以下全て日本語での会話です)
私「…もしもし」
男「あのね、私は韓国人ですよ。あのね、先生ね、ドンカスはドンカスですか、
それともトンカスですか?」
私「(え!!!!!なに!!!!)トンカツです」
男「あぁ、そうですか。ではね、コーヒーは、ミルクとかお砂糖とかつけますか?
でいいですか?」
私「(え!!!!!!どういうこと!!!!!)ミルクやお砂糖をつけますか?がいいと思います」
男「あのね、私はホテルの支配人ですよ。あのね、先生ね、どうもありがとうございました。あのね、先生ね、今度私のホテルに遊びに来てくださいね。
ではね、ありがとうございましたぁぁ!」
以上
ドンカスですよ。ドンカス!!!!!どんかす!!!ど ん か す !!
なんですか、それ。
一体誰なのかもわからないし、どうやってこの番号を知ったのかも謎だし、
ドンかすは、ドンカスですかトンカスですか?って。
メニュー表を作っていたのでしょうかね。
今後、死ぬまでこの電話を思い出しては楽しめると思うと、本当に素晴らしい電話を
ありがとうございます。とてもおかしな電話だった。
こうして思い出してみると、大変個性豊かな人たちに囲まれていました。
この先、会うこともないだろう人たち。
私の人生を彩ってくれる、ひとときの出会い。私も誰かの彩りになれたらいいな。
大丈夫、わたし。明日は来るから。前を向いて、波の音を聞いて。この海の向こうにも波の音を聞いている誰かがいるから。(ドングン風)
韓国は、アジアのイタリアと聞きました。私が出会った韓国人は、踊りや歌が好きで、お喋りで、よく飲み、よく食べる。人懐こく、お茶目さもある。可愛く見せることに恥じらいはない。かっこよく見せることにも恥じらいがない。とてもとても、人間味のある人たちだった。嫌なことあったかな。一人でいると異常なくらい心配されることくらいかな。
差別的なことも言われなかった。何か思っている人がいたかもしれないけど、言われなかったな。なんだかまた釜山に行きたくなってきた。今はもうすっかり様子が変わっているのだろうな。今の韓国といえば、おしゃれなカフェがたくさんある。流行に敏感でおしゃれな街。私がいた頃の昭和の匂いがまだ残っていたら嬉しいな。
Comments