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第10回森の音楽会に向けて

「森の音楽会」は、ヴィオラ奏者の生野正樹さんが、「はねお音楽館」というアートギャラリーで開催していたものですが、コロナの影響で第8回目からは密にならない場所で行われることになり、光栄にも第9、10回はヒルトップファームで催していただく運びとなりました。昨年末の「第9回森の音楽会」は、ヒルトップファームレストラン内で密にならないよう開催いたしましたが、大変好評で、音楽会の演奏が終わったそのあとに、今回の第10回目の音楽会チケットの半分以上が予約で埋まってしまうほどでした。


さて、どのように素敵だったのか、音楽に詳しくないわたしが書くのも、なんだかお恥ずかしく図々しいのですが、わたしなりに感じたことを書いて、少しでも多くの皆様に生演奏を聞く機会を持っていただけたらいいなと思っております。


クリスマス前に行われたヒルトップファームでの「第9回森の音楽会」は、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロの三重奏。レストラン内なので、音の響きかたはどうなるかしらと思いましたが、思いのほか音の反響もよく、店内に「生気」が宿ったようでした。築30年以上の建物の息吹に触れたようで、木材たちが艶を増すような、使い古された機械に油をさしたような、この建物がとても喜んでいる「空気」のようなものがわたしには見えました。そしてヒルトップの丘にいる全ての精霊たちが集まり、窓辺に座って一緒に音楽を楽しんでいるような息遣いも感じました。(え、怖い。。。)お昼と夕方の2部制でしたが、お昼の穏やかな明るさの中と、夕暮れからの演奏は、どちらにも音色がとてもよく溶け込んでいました。何よりも、お客様の雰囲気もとてもとても心地の良いものでした。


生演奏の醍醐味は演奏者の息遣いを感じながら音楽を聴けることです。店内に溢れた音色は、お客様お一人おひとりの心に沁みていったことと思います。何かを想う気持ち、懐かしむ気持ち、「あの時ああしたらよかったかな」なんて後悔する気持ちなど、沢山の感情を解き放してくれるような演奏でした。もちろん、流れてくる音にうっとりしたり、美しいと感じたり、今そこにあるものを感じる時間としても贅沢な空間だったと思います。


そして、来たる4月13日の「第10回森の音楽会」は、とても美しい季節の「森の中」で開催予定です。お天気次第ではありますが、ぜひとも「本当に森の中の音楽会」を実現できたらいいなと願っております。今回は、ヴィオラ1、チェロ3という珍しい編成での演奏会です。一体、どんな音を聴けるのでしょう。森の木立の中、ご自分の好きな場所に椅子を置き、それぞれの気持ちを胸にメロディを身体で感じていただきたいと思います。そして、森の香りや森の音にもぜひ耳を傾けていただきたいです。春の森は眠くなる。夏の前の森は萌えていて、今より少し大きくなっているかも。小鳥たちのコーラスも聴けるかな。ガビチョウにはご遠慮願いたいけれど。森にいる全ての命あるもの、ないものが、風に乗った音に耳を澄ませるのかな。


ヴィオラ奏者の生野さんは沢山の方に音楽を届けたいそうです。あんなにも素晴らしい演奏を聴いたら、わたしにできること、夢があること、夢の広がることを、ヒルトップファームにできる範囲で皆様にお届けできるようご協力したいと思いました。


最近、わたしは「羊と鋼の森」という宮下奈都さんの小説を読みました。こちらは、ピアノの調律師を目指す青年が立派な調律師になっていく過程が書かれているのですが、「音」と「森」を重ね合わせる描写が優しく、春の森のような軽やかさで、青年が誠実に自分の夢と向き合っていく姿が書かれています。沢山の素敵な表現には爽やかな感動があり、青年のみずみずしい美しさに、自然の中で素直に生きていくことの強さを感じました。演奏会の前に読めてよかったなと思います。


どうぞ、4月13日の「森の音楽会」では「春」を、そして「今」を思う存分満喫してください。野外のみ有効チケットはまだ残席がございます。前日の天気予報での判断になりますが、もしご興味のある方がいらしたら、ヒルトップファームまでお問い合わせくださいませ。また、最新情報はインスタグラムで発信いたします。雨天の場合はレストラン内で開催されますが、「野外のみ有効チケット」をご予約の方にも聴いていただけるよう夕方からの公演を一部増やしました。チケットを諦めていた方、夕方からならお越しいただける方など、インスタグラムで情報をご確認くださいませ。



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